2次元検出器を用いた ラミネート型リチウムイオン電池のオペランド測定

    Application Note B-XRD1116

    はじめに

    高容量、高安定性、長寿命なリチウムイオン2次電池の開発には、正極・負極材料の結晶構造評価や、充放電過程における結晶構造の安定性評価が重要です。Mo線源を搭載したX線回折装置と2次元検出器の組み合わせは、1秒間に最大131枚の透過X線回折像が取得可能です。さらにラミネートセルアタッチメントを使用すると、試料温度を安定に保ちながら高速充放電環境を再現でき、リチウムイオン電池の表面から内部領域で起こる急激な結晶構造変化を詳しく観察できます。

    測定・解析例

    図1にラミネートセルアタッチメントと2次元検出器を組み合わせた写真を示します。ラミネートセルの正極材としてLiFePO4を用い、充電レート2C、放電レート1C(1Cは満充電や完全放電が1時間で完了するときの電流値です。したがって例えば0.5Cでは2時間、2Cでは30分で充放電が完了します)で充放電しながら、露光時間10秒の透過法による露光測定を繰り返し、X線回折プロファイルの時間変化を調べました。図2に、充電中に観測された2次元回折像の一例を示します。点線で示した領域に、FePO4とLiFePO4の特徴的な回折ピークが観測されました。

    図3に、図2中に点線で示した領域のプロファイルマップと電圧グラフ、FePO4とLiFePO4の回折ピーク強度のグラフを示します。充放電に伴い、FePO4とLiFePO4の間で可逆的な結晶相変化が起こることがわかりました。

     ラミネートセルによる透過露光測定

    図1 ラミネートセルによる透過露光測定

     充電中に観測された2次元回折像

    図2 充電中に観測された2次元回折像

     プロファイルマップと電圧グラフ(左) および FePO4, LiFePO4回折ピークの強度変化(右)

    図3 プロファイルマップと電圧グラフ(左) および FePO4, LiFePO4回折ピークの強度変化(右)

    推奨装置・推奨ソフトウェア 

    • 全自動多目的X線回折装置 SmartLab + Mo管球 +CBO-E集光光学系
       + ラミネートセルアタッチメント + ハイブリッド型多次元ピクセル検出器 HyPix-3000

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